病気療養の末など、ある程度心の準備ができる場合と違い、事故や急病などによる 突然のお別れは、誰にとっても準備がないまま訪れます。何をどの順番で進めればよいか 分からず、混乱してしまうのも無理はありません。この記事では、突然のときに 家族がまず行うことになる手続きを、落ち着いて読める順序で整理します。

まず必要になる書類:死亡診断書・死体検案書

病院で治療中に亡くなった場合は、医師が「死亡診断書」を発行します。一方、 自宅や外出先などで亡くなり、事故や事件性の有無が明らかでない場合には、 警察が関与し、監察医などによる検視・検案を経て「死体検案書」が発行されることが あります。どちらの書類も、その後の死亡届の提出に必要になる大切な書類です。 状況によって発行の流れが異なるため、その場にいる医療機関や警察の案内に 従って対応することになります。

死亡届の提出

死亡診断書(または死体検案書)を受け取ったら、市区町村役場に「死亡届」を 提出します。死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に提出することが 原則とされています。死亡届が受理されると、火葬・埋葬に必要な許可証が 発行されます。葬儀社が手続きを代行してくれる場合も多いため、まずは 葬儀社や役所の窓口に相談するとよいでしょう。

銀行口座は原則として「凍結」される

金融機関が名義人の死亡を把握すると、その口座は凍結され、相続人であっても 原則として自由に引き出しができなくなります。これは、特定の相続人が 無断で財産を動かしてしまうことを防ぎ、相続人全員の権利を守るための仕組みです。 葬儀費用など、当面必要な資金の支払いに充てるため、一定額までは相続人が 単独で引き出せる「預貯金の仮払い制度」もありますが、必要書類や上限額は 金融機関によって異なるため、各金融機関の窓口でご確認ください。

事故死・突然死ならではの注意点

事故や災害などが原因の場合、通常の相続手続きに加えて、生命保険・傷害保険の 保険金請求、業務中の事故であれば労災の手続きなど、追加の対応が必要になることが あります。交通事故など第三者が関わる場合は、相手方や保険会社とのやりとりも 発生します。こうした手続きは種類が多く、窓口もそれぞれ異なるため、 一つひとつ抱え込まず、保険会社や専門家の案内を受けながら進めることをおすすめします。

また、突然のことで、遺言書の有無や財産の全体像について、生前に話し合う 機会がなかったというケースも多くあります。慌てて何かを決めようとせず、 まずは次の見出しで紹介する「相続人・財産の調査」から、順を追って進めていけば 大丈夫です。

少し落ち着いてから取り組むこと

死亡届や当面の手続きが一段落したら、次のような点を順番に確認していくことに なります。

  • 相続人の確認:戸籍などから、誰が法定相続人にあたるかを確認します
  • 相続財産・負債の調査:預貯金、不動産、保険、借入金など、 プラス・マイナス両方の財産を確認します
  • 遺言書の有無の確認:遺言書がある場合とない場合で、その後の 進め方が変わります
  • 相続放棄・限定承認の検討(目安:相続人になったことを知った時から3か月以内): 負債が多い場合などに検討します
  • 各種名義変更:不動産、自動車、公共料金、各種契約などの 名義変更や解約を順次進めます

法定相続人の範囲や、相続財産・負債の考え方の基本については、当サイトの 相続の基礎知識に関する記事もあわせてご覧ください。

まとめ

突然のお別れの直後は、悲しみの中で数多くの手続きに向き合わなければならず、 負担の大きい時期です。ですが、死亡診断書の受け取りから死亡届の提出、 口座の扱い、相続人・財産の調査という大まかな順序を知っておくだけでも、 一つひとつ落ち着いて進めやすくなります。手続きに迷ったときや、 負債の有無が心配なとき、相続税がかかるかどうか気になるときは、 一人で抱え込まず、早めに税理士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

ご利用にあたって

本記事は、相続に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務相談・ 法律相談に代わるものではありません。実際の手続きの流れや期限は、亡くなった 状況や個々の事情によって異なります。具体的なご判断の前には、必ず税理士・ 弁護士などの専門家にご相談ください。

記事内の期限などの数値は執筆時点の制度に基づく目安です。制度は改正される ことがあるため、最新の内容は国税庁・裁判所など公的機関の発表または専門家に ご確認ください。